マツダはなぜ「自動車界のアップル」になれなかったのか

最近マツダが「変わった」という声をよく耳にしますよね。

何よりもデザインが刷新されて、目に見えて美しくなりました。

そして製品ラインナップも「デミオ」「アクセラ」「アテンザ」「CX-3」「CX-5」の5つをメインに集中して販売を行うことで、メリハリが生まれました。そして何と言っても、自社開発のスカイアクティブエンジンは素晴らしい機能です。

このように「デザイン」を第一に考えることや、5つの製品に「集中」するといった経営のあり方は、かつてスティーブ・ジョブズが復活させたアップルのやり方にそっくりです。

確実に以前のマツダと今のマツダは別物になったようです。

このマツダの政策の背景には、2009年のリーマンショックによって経営に深刻なダメージを受けたことが関係しているそうです。

2010年から「魂動」と銘打って製品を一新し、マツダは瀕死の状態から見事復活したのです。

ところが、ここ最近は売上が再び伸び悩んでいるようです。2016年の営業利益は4割減と成長にストップがかかったようです。

「魂動」によって生まれ変わったはずだったマツダですが、いったい何を間違えたのでしょうか。同じように、かつて瀕死の状態から復活を遂げたアップルと何が違うのでしょうか。

今回はマツダはなぜアップルになれなかったのか見ていきましょう。

理由1. ソフトウェアがいい加減


自動車の未来はソフトウェアにこそありです。

マツダはハードウェアはこれ以上ないほど素晴らしい仕上がりですが、ソフトウェアがずさんを極めています。

特に純正のナビシステムであるマツダコネクトは自動車メーカーの中でも最低レベルです。使いづらいUIに頻繁に再起動を繰り返すなど、全くやる気が感じられません。

マツダのハードウェアに対するこだわりと同じくらいの情熱を、ソフトウェアにも向けて欲しかったものです。

同じ自動車メーカーでも、トヨタはソフトウェアの重要性をよくわかっています。

実際に新たにシリコンバレーに研究所を設置するなど抜かりがありません。たかがナビであり、されどナビです。

これからはナビ周りを中心とした「ソフトウェア」が自動車機能の中心になっていくのです。

理由2. 革新性に欠ける


スカイアクティブは素晴らしい技術ですが、所詮はガソリン・軽油にすぎません。

これは昔からあるテクノロジーの延長線上なので、全くもって斬新さがないのです。製品に革新性を与えるためには、思い切って全てEV(電気自動車)にしてしまった方がよかったでしょう。

マツダは2019年以降にEVの導入を始めるとアナウンスしているそうですが、それではあまりにも遅いのではないでしょうか。

理由3. 製品名も一新すべきだった?


従来のマツダとは違うということを認識させるには、まず製品名を変えるべきでした。

アクセラやデミオといった主力商品は、以前のものとは中も外も別物にも関わらずダサい時の名前が使われ続けています。

アップルもかつて、長年使ってきた「マッキントッシュ」という製品名を捨てて、「iMac」へと名前を変えました。もちろん過去に決別するためです。

おそらくマツダの経営陣の事情で製品名を変えられなかったのか分かりませんが、その中途半端さが足をすくわれることに繋がったようです。

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最後に


このように、マツダの挑戦は素晴らしかったのですが、うまく化けることができずにサナギのまますこぶっているような感じです。

あと一歩で世界を変えるほどの革新的な企業になれたかもしれなかったのですが、非常に惜しいです。

このマツダの果たせなかった無念はテスラが果たしてくれると信じています。

テスラはマツダにはこなせなかった課題を全てクリアすることができるでしょう。

マツダが誕生してからもうすぐ100年が経ちます。企業は長く続けていると創業時の魂を失って窮屈になっていくものです。

ちょうどここいらでバトンタッチの時期なのかもしれませんね。

自動車界のアップルとして期待されているテスラの活躍に期待しましょう。