アップルの衰退は免れないのか?iPhoneの「後」の世界
「アップル (Apple Inc.)」といえば、言わずと知れた超大手IT企業で、その時価総額はなんと世界一位です(参考: 世界時価総額ランキング)。
そんなアップルの事業内訳を見ると、iPhoneの利益が全体の約70%で、あとはiPadが約6%、Macが約7%、サービスが約10%、その他製品が約6%となっています(参考: Appleが史上最高の四半期決算を発表、販売台数減少するもiPhone Xの高価格設定が売上に寄与)。
こうやって見てみると、アップルはあまりにもiPhoneの利益に依存しすぎていることがわかります。そして当然のことながら、このままスマホの時代が終わってiPhoneが売れなくなると、アップルは一気に衰退してしまうことになります。
果たして、アップルはiPhoneの「後」の世界でも今の利益を維持することができるのでしょうか。それとも衰退は免れないのでしょうか。
HomePodは主力製品にはなれない?
今後のアップルを担う製品として、2018年2月に発売されたばかりの新製品「HomePod」が注目を集めています。
「HomePod」は、いわゆるスマートスピーカーと呼ばれるジャンルの製品で、アップルはアマゾンエコー、グーグルホームに追随するかたちで発売しました。
しかしながら、$49程度から購入できるアマゾン、グーグルと違って、「HomePod」は$349というかなり強気な値段設定です。
「HomePod」は単なるスマートスピーカーにとどまらず、高音質さをウリにしています。しかし、$349も出せばBoseどのかなり良いBluetoothスピーカーが買えてしまうのも事実です。
そのため「HomePod」が、iPadやMacのような誰もが欲しがる製品になることは実際のところ難しいのかもしれません(廉価版のminiの発売で情勢は変わるかも?)。
「HomePod」が主力製品になるのは難しいかもしれませんが、代わりに2015年に発売された「Apple Watch」が着実に販売台数を増やしているため、近いうちにiPadに並ぶ主力製品になる可能性はあります。
今後のアップルが発売しそうな新製品
では次に、「次のiPhone」を担えるようなアップルの新製品が今後登場するのか考えていきましょう。今回は噂やリーク情報を元に今後アップルが発売しそうな新製品を2つまとめてみます。
今後のアップルが発売しそうな新製品1. Apple Glass (仮)
1つめの今後のアップルが発売しそうな新製品は、スマートグラスである「Apple Glass(仮)」です。
「Apple Glass」は、いわゆるメガネ型デバイスのことで、AR技術を使った画期的な操作に期待がかかっています。アップルがメガネ型デバイスを開発している噂や(参考: 2020年に発売?ARメガネ「Apple Glass」のコンセプトデザイン)、ティム・クックCEOはARに力を入れると再三再四話していることからも(参考: ティム・クックがヴォーグに語った「ARの破壊的パワー」)、アップルががAR技術を活かせる製品を販売することははほぼ確実と言えます。
この「Apple Glass」が、iPhoneやiPadのような主力製品になれるかどうかは現在のところ未知数です。もしも私たちの生活を一変させてしまうような画期的な使い方ができるなら、Apple Glassは次のiPhoneになるかもしれません。
「Apple Glass」は、次のiPhoneとして期待できる製品では最も有力です。
今後のアップルが発売しそうな新製品2. オールインワンのApple TV
2つ目の今後のアップルが発売しそうな新製品は、ディスプレイとスピーカーが一体になった、「オールインワンのApple TV」です。
アップルが60インチ相当のテレビのようなものを開発しているというリークがあったので(参考: Appleが有機ELテレビを開発中!? プロトタイプらしき画像が流出)、わずかながら可能性はあります。
もしアップルが「オールインワンのApple TV」を出すとすれば、おそらくディスプレイはLGあたりの有機ELパネルを使って、iMac Proと似たようなスピーカーを搭載してくると思われます。価格は、60インチモデルが安くても40万円程度になるでしょう(アップル税を考慮)。
この場合、他社の有機ELテレビとApple TVをそれぞれ別で買った方がずっと安くなるため、よほどのアップルファンしか買わないと思われます。また、現在のApple TV自体が市場シェア4位で全体の15%程度しかないという情報もあるため(参考: 「Apple TV」、米国市場でのシェア減少──Parks Associates調べ)、オールインワンのApple TVがバカ売れすることは考えにくいです。
以上のことから、「オールインワンのApple TV」が主力製品になることは考えにくいかもしれません(そもそも発売しないかも)。
サービスの売上を拡大?
今後のアップルは、iPhone、iPad、Macといったハードウェア製品のみに依存することが厳しくなってくるのは間違いないので、Apple MusicやiTunes Movies、App Store、iCloudなどのサービスの売上を拡大する方向へシフトしていく可能性はあります。
なかでも、Apple Musicの会員数は3,500万人を突破し、音楽ストリーミングの雄であるSpotifyを追い越す可能性があるという見方もあります(参考: Apple Musicの市場価値は約1兆円、アナリストが分析)。このことからも、Apple Musicが今後、iPadやMacに並ぶか、それ以上のアップルの主力事業になることは間違いなさそうです。
おそらく、将来的にはApple Musicだけでアップル全体の10%〜15%程度の利益を稼げるようになるかもしれません。
▼ワイヤレスイヤホンは「AirPods Pro」がオススメです
最後に
今回は、『アップルの衰退は免れないのか?iPhoneの「後」の世界』についてご紹介しました。
まとめると、今後のアップルはApple Musicの売上を拡大することと、その他製品の中のApple Watchの売上を拡大することで、iPhoneの売上が多少減少しても成長を続けることが可能と思われます。
そして、本命は2019〜2020年頃に発売するとされている「Apple Glass(仮)」にあります。Apple GlassがiPhoneやスマホそのものを超える革命的な製品になれば、アップルは更に巨大な会社になることは間違いないでしょう。
とどのつまり、アップルが10年後も時価総額世界1位を維持しているかどうかを決めるのは、やはり「Apple Glass」にあると言えそうです。
Apple Glassが登場するまでの間は、Apple MusicとApple Watchの進化に期待しましょう。アップルはまだまだ私たちを楽しませてくれそうです。