YahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない4の理由!
今回は、「YahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない4の理由」についてご紹介します。
2019年11月18日に、Yahoo! Japanを傘下に持つZホールディングスとLINEとの経営統合が正式に発表されました。
YahooとLINEの提携によって、打倒GAFAと銘打ってし世界をリードするAIカンパニーを目指すようです(参考: ヤフーとLINE、統合の裏に「GAFAに負けっぱなし」への危機感 世界で勝つ戦略とは?)。
しかしながら、結論から言うとYahooとLINEが提携したところでGAFAに勝つのは絶対に無理だと思います。
そこで今回は、「YahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない理由」について見ていきましょう。
YahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない4の理由
1. ユーザー数の桁が違う
1つ目のYahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない理由は、「ユーザー数の桁が違う」です。
まずは、Yahoo! JapanとLINE、GAFAのサービスのそれぞれのユーザー数について確認しておきましょう。
Yahoo! Japanは、日本でのユーザー数はおよそ6,700万人、日本独自仕様となっているので(米Yahooは終了)世界でも6,700万人となります(参考:トップ3は「Yahoo! JAPAN」「Google」「YouTube」インターネットサービス利用者数ランキング)。
LINEは、日本でのユーザー数はおよそ7,800万人、世界でのユーザー数はおよそ2億1,700万人となっています(参考: LINEはガラパゴス?世界のSNSデータからみる日本依存のリスク)。
Yahoo! Japanと検索事業で競合しているGoogle(検索エンジン自体は同じ)の日本のユーザー数は約6,700万人、世界でのユーザー数は具体的な数字が見つかりませんが、シェア率で90%を超えているので(参考: 検索エンジンシェア1位は?日本と世界のランキング推移比較)、世界約20〜30億人以上が使っていると考えられます(世界ネット人口が40億人で中国は使えない)。
また、Yahoo! Japanは最近はショッピング事業に力を入れ国内約2,700万人が利用していますが(参考: 「アマゾン」「楽天市場」が約4000万人で拮抗、「Yahoo!ショッピング」は2645万人【ECサイト月間利用者数】)、同じネットショッピングを手がけるAmazonの日本のユーザー数は約5,000万人(参考: 「アマゾン」の利用者数は5004万人、「楽天市場」は4804万人【ニールセン調べ】)、世界ユーザー数は明かになっていませんが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどでシェア1位のため、世界では少なくとも推定3億人以上が使っていると考えられます。
LINEのメッセージアプリで競合しているFacebookの日本ユーザー数は2,800万人、世界ユーザー数は22億人となっています(WhatsAppもFacebook傘下)。
このように、Yahoo! JapanもLINEも日本国内では頑張っていますが、世界ユーザー数を見るとGAFAに圧倒的な差をつけられているため、勝つのは難しいと思います。
2. 所詮ガラパゴス
2つ目のYahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない理由は、「所詮ガラパゴス」です。
Yahoo! Japanは検索エンジンで日本では約半数のシェアを持っていて、LINEも日本国内ではほぼ100%のシェアを持っています。
しかしながら世界に目を向けると、Yahoo! Japanは海外展開していないのでシェア0%、LINEのメッセージアプリ市場シェアは世界シェアでは上位8位にすら入っていません(参考: Most Popular Instant Messengers 1997 – 2019)。
このように、Yahoo! JapanもLINEも世界では戦えない、いわゆる「ガラパゴス」の状態となっています。
もちろん、たとえガラパゴスでも中国のように国内市場で稼ぐことができればいいのですが、日本の場合は事情が異なってきます。
これまでの歴史を振り返ってみると、ガラケーやmixi、ニコニコ動画、モバゲー、グリー、TSUTAYAなど、いわゆるガラパゴスと呼ばれる製品・サービスはことごとく海外勢に駆逐されてきたのです。
そのため、これから先ガラパゴスサービスであるYahoo! JapanとLINEが海外勢に駆逐される可能性はないとは言い切れません(むしろ高い)。
3. ポータルサイトもメッセージアプリも2030年までに消える
3つ目のYahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない理由は、「ポータルサイトもメッセージアプリも2030年までに消える」です。
10年前の2009年を思い出してみると、当時はネットの閲覧はパソコンでするものだったので(ガラケーではモバイルサイトしか見れない)、とりあえずYahoo! Japanを開いて検索やメール、ヤフオクなどを使用することが多かったと思います。
ところが、2019年現在はスマホが普及したため、ホーム画面から検索はGoogleで、メールはGmailで、ショッピングはAmazonやメルカリでといった具合にアプリごとに細分化されてしまいました。
このように、スマホの普及によってYahooのようなポータルサイトは役目を失い(いわゆるオワコン化)、利用者の減少が始まったのです。
実際にアメリカのYahoo(いわゆる米ヤフー)は経営難に陥り、2017年に買収されて消滅しました。
いずれは日本のYahoo! Japanも米ヤフーと同じ境遇に陥る可能性もあります。
そして、2019年現在は好調のメッセージアプリも新しい局面を迎えようとしています。
メッセージアプリの最大の欠点は、他社サービスとの互換性がないことで、例えばWhatsApp、LINE、iMessageなどの間でテキストを送受信することはできません。
どのプラットフォームでも送受信できる最強のメッセージ機能は国際標準規格の「SMS (ショート・メッセージ・サービス)」なのですが、送信が有料なのと、文字制限があること、ファイルの送信ができないことが欠点です。
そこで今注目されているのが、Googleが対応を進めている「RCS (リッチ・コミュニケーション・サービス)」というものです(参考: Google、米国でも「RCS」を全Androidユーザーに提供開始)。
この「RCS」を使えば、標準搭載のメッセージ機能から、電話番号だけで相手にテキストやファイルを送れるようになるので、追加でアプリをインストールする手間がなくなります。
現在はAndroid向けの機能ですが、いずれiOSもRCSに対応してくると思うので、iOSとAndroid OS間で電話番号でテキストやファイルを送ることも実現するはずです。
おそらく2020年代はこのRCSが普及していくため、メッセージアプリ自体がオワコン化していく可能性が高いのです。
日本では「+メッセージ」という微妙なサービスがありますが、これは早く終了してGoogleが推奨する規格に合わせて欲しいところです。
このように、今後はポータルサイトもメッセージアプリも徐々に使われなくなっていくので、YahooもLINEも苦しくなってくると思います。
4. どっちもクールじゃない
4つ目のYahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない理由は、「どっちもクールじゃない」です。
これはブランドの話になってくるのですが、YahooもLINEもあまりかっこいいサービスではありません。
GAFAの製品・サービスを見てみると、アップルは新作の度に行列ができるほどファンが多いですし、アマゾンはショッピングから動画配信まで人気ですし、ユーチューバーという言葉が一般的になってきたほどYouTubeの人気はすさまじいですし、インスタ映えが流行語になるくらいInstagramも人気です。
そしてよく言われていることなのですが、GAFAの最大の強みはユーザーから支持されていることで、「GAFAなんてなくなってしまえ」と思っている人が少ないことです。
それに対して、YahooとLINEはどうでしょうか。
Yahooはパソコンをブラウザを開いた時のホームページがYahooになっているので、惰性でなんとなく使い続けている人も多いのではないでしょうか。
また、LINEもLINEが素晴らしいから使っているというよりかは、「周りの人がLINEを使っているので自分も使わざるを得ない」という人が多いと思います。
つまり、YahooもLINEもそれがクールだから使っているのではなく、とりあえず・なんとなくで使われているものなので、もっと優れたサービスが出てきたらあっさり乗り換えられる可能性が高いのです。
YahooとLINEの伸びるサービスは?
では次に、GAFAに対抗できるかどうかは置いておいて、Yahoo! JapanとLINEのサービスの中で今後伸びるのはどのサービスなのかを考えていきましょう。
まずは、YahooとLINEとサービス一覧についておらさいしておきます。
Yahoo! Japanのサービス一覧
- ポータルサイト
- Yahoo! ニュース
- Yahoo! メール
- Yahoo! ショッピング
- Yahoo! カード
- Yahoo! ファイナンス
- Yahoo! カーナビ
- Yahoo! トラベル
- Yahoo! 防災速報
- Yahoo! マップ
- Yahoo! 知恵袋
- ヤフオク
- GYAO!
- ZOZOTOWN
- PayPay (半分ソフトバンク)
- ebook japan
LINEのサービス一覧
- LINE (メッセージ)
- LINE ゲーム
- LINE マンガ
- LINE MUSIC
- LINE LIVE
- LINE カーナビ
- LINE Pay
- LINE Payカード
- LINE NEWS
- LINE ノベル
- LINE BLOG
- LINE 家計簿
- LINE モバイル
- LINE Pasha
- LINE STEP
- LINE WORKS
- LINE Clova
- LINE@
- LINE Camera
金融・ゲーム・マンガが伸びる?
YahooとLINEのサービスをざっと見比べてみると、まず重複しているサービスとして、ニュース、カーナビ、QR決済、カードなどがあるのが分かります。
そして、どちらにもほとんど聞いたことのないようなサービスも多くあります。
この中で、今後も無難に伸びそうなサービスは、金融・ゲーム・マンガあたりではないでしょうか。
Yahoo! Japanがソフトバンクと半分持っている「PayPay」はユーザー数2,000万人を突破するなど飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しているので(参考: PayPay、2000万ユーザー突破 年末に向けた還元施策も)、PayPayにLINE Payを取り込んでしまえばかなり国内最強の決済サービスになると思います。
また、「LINE マンガ」は国内シェア圧倒的1位で売上の増加も続いているため(参考: LINE、非ゲームのコンテンツ領域で圧倒的な存在感 『LINEマンガ』の決済高は26%増の62億円と好調 『LINE MUSIC』も46%増の29億円に)、今後に期待できますし、Yahooの「ebook japan」と統合すればさらに強力なサービスになり得ます。
そして、ゲーム事業もヒット作次第では売上増に期待できるため、今後も伸びると思います。
ポータルサイトは徐々に需要減、メッセージアプリはRCSなどの登場で緩やかに衰退していく可能性がありますが、少なくとも今後5年程度は大丈夫だと思います。
ニュースの分野は競争が非情に激しいため、今後はスマニューやGoogleニュース、そしていずれ参入するであろうApple Newsとの競争にさらされることになりそうです。
ショッピングの分野はAmazonとメルカリが圧倒的に強く、地図アプリとメールもGoogleが強いので勝てずに撤退する可能性もあります。
MVNOも楽天モバイル、UQモバイル、マイネオ、OCNモバイル、IIJimoなどに勝てないので撤退する可能性が非常に高いです(参考: MVNOシェアは楽天モバイルが30%超え、ICT総研調査)。
LINE MUSICはApple MusicやSpotifyなどの大手にどうせ勝てないので、今後撤退する可能性があります。
やはり盤石なのは金融・ゲーム・マンガなので、この分野に力を入れていくことになりそうです。
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最後に
今回は、『YahooとLINEが経営統合してもGAFAには勝てない4の理由!』についてご紹介しました。
このように、GAFAは桁違いの規模の会社なのでYahooとLINEが組んだところで歯が立たないのですが、日本ではかなり存在感を発揮できそうです。
特に、国内では金融・ゲーム・マンガの分野が成長していることに加えて、すでにニュースとメッセージアプリでは国内最大手なのでその利点を活かせると思います。
YahooとLINEの経営統合は、国内市場に限定すればかなり強いのは間違いないので、2020年代は猛威を振るいそうです。
果たして、YahooとLINEのタッグはこれからどのような展開を見せていくのか、楽しみですね。