「麒麟がくる」の色問題は2話で修正?BS4K版の感想
2020年1月19日より、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が始りました。
「麒麟がくる」は、戦国武将である明智光秀を題材にしたドラマなのですが、放送が開始するなり、ネット上ではあることで話題を集めていました。
それは、「麒麟がくる」の映像の彩度が高すぎるといった色がおかしい問題です。
私も「麒麟がくる」をリアルタイムで見ていたのですが、確かに「色が濃いなぁ」とは思っていました。
実際に「麒麟がくる」が放送されている時間帯には、Twitterで「色がヤバイ」といった投稿が相次ぎ、放送終了後にはtoggeterにまとめページまで作られていました(参考: 大河ドラマ「麒麟がくる」の画面が色の暴力で疲れる)。
「麒麟がくる」の色がおかしい問題には、「4K HDRで制作されているせいだ」、「単にカラーグレーディングに失敗しているだけだ」といった原因追求の憶測がいくつか飛び交っています。
そこで今回は、「麒麟がくる」の色問題は第2話ではどうなったのか、録画していたBS4K版をもとに見ていきたいと思います。
「麒麟がくる」の色問題は2話で修正?
では、実際に「麒麟がくる」の色問題について見ていきましょう。
今回は、私が録画していたNHK BS4Kの「麒麟がくる」を元に、実際にどの程度色がおかしいのか、また第2話では修正されたのかどうかを見ていきます。
検証のために、テレビの画面をiPhoneで直接撮影したものを掲載しています(テレビは4K HDR対応)。
もちろん、実際に肉眼で見える色とは若干異なりますが、ある程度は参考になると思います。
色問題は第1話の冒頭シーン
▲「麒麟がくる」で色問題が指摘されているシーンは、第1話「光秀、西へ」の冒頭10分ほどのシーンになります。
第1話の冒頭シーンでは、田園地帯のような場所を舞台に、戦闘が繰り広げられます。
このシーンでは、ドローンやアクションカムを使って撮影したようなカットも含まれていました。
実際に録画した映像を見てみると、確かに背景の田んぼや畑、雑草などの緑の発色が強すぎることが分かります。
また、空の色もかなり彩度が高いです。
▲第1話の冒頭の戦闘シーンは終始派手な色となっています。
しかしながら、次のシーンの城下町や城内の場面では、冒頭シーンほど色が濃過ぎることはなかったので、色問題は特に第1話の冒頭シーンにあるようです。
第2話では修正された?
▲次に「麒麟がくる」の第2話である「道三の罠」を見ていきます。
第2話では、基本的に城下町における戦のシーンがメインになるので、第1話のような田園地帯は登場しません。
第2話をパッと見た印象としては、「ごく普通の色に見える」と思いました。
第2話にも緑が多いシーンが少しだけあったのですが、第1話の冒頭シーンのように彩度が高過ぎると感じることはありませんでした。
▲第1話のフィードバックを受けて第2話では色が修正されたのか、それとも元々からこの色だったのかどうかは分かりません。
ただ、「麒麟がくる」の第2話では特に色がおかしいと思うシーンはなかったという感想です。
ドローンやアクションカムの色に合わせたため?
ここで、「なぜ第1話の冒頭シーンだけ派手な色になっていたのか」ということが疑問になります。
1つの仮説としては、ドローンやアクションカムの色に合わせたのではないかということです。
第1話の冒頭シーンでは、ドローンやアクションカムが使われているカットがありました。
当然ながら、複数の種類のカメラを混在して使うと、上がってくる映像の色や品質にもバラツキが出てきます。
実際にGoProなどで撮影された動画を見たことがある方は分かると思うのですが、アクションカムは色が濃く出るように設定されています。
また、DJI Mavicなどのドローンで撮影された映像も、彩度が高くなる傾向があります。
そのため、ドローンやアクションカムのカットの彩度に合わせるために、他のビデオカメラで撮影されたカットの色も濃くしたため、あのような変な色になってしまったのかもしれません。
あくまでも推測なので、実際のところは不明です。
HDRは関係ない?
「麒麟がくる」の色がおかしい問題の原因として、「HDRで制作しているからだ」と主張する意見もあります。
実際に「麒麟がくる」は、4K HDR(HLG)のビデオカメラで撮影されていて、NHK BS4Kでは4K HDRで放送されています。
ここで、HDRから地上波用のSDRに変換する際に、設定を間違えたのであのようなおかしな色になったのではないかという考えのようです。
結論から言うと、おそらくHDRは関係ないのではないかと思います。
その理由としては、実際にBS4Kの4K HDR版を見ても色が変だったことに加えて、他の4K HDR制作の番組は問題なく放送されているためです。
NHKがHDRで制作している番組は結構あって、2018年以降の「紅白歌合戦」や、ドラマ「精霊の守り人」、「浮世の画家」、「ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」などもHDRで制作されています。
しかしながら、「紅白の色が変だ」、「精霊の守り人の色がおかしい」という意見は特に無かったので、「麒麟がくる」の色問題はHDR制作とは関係がないと言えそうです。
単にカラーグレーディングの失敗?
もしくは、単に「麒麟がくる」の編集を担当していた人が、色をいじりすぎてああなってしまったというカラーグレーディングの失敗も可能性としては考えられます。
映画やドラマでは、映像の色全般を指す「ルック」を決めるために、色のスペシャリストであるカラリストという専門職の人が担当することが一般的です。
しかしながら、日本のテレビドラマでカラリストがルックを決めるという話は聞いたことがないので、「麒麟がくる」の制作スタッフにもそもそもカラリストがいない可能性もあります。
「麒麟がくる」の第1話の冒頭シーンがなぜあのような色になってしまったのかは分かりません。
ただ少なくとも、「麒麟がくる」の制作スタッフにプロのカラリストがいれば、「あの色ではいけない」とストップをかけることができたはずです。
そう考えると、おそらくあまり詳しくない人が下手に色をいじってしまってああなったというカラーグレーディングの失敗が原因として考えられそうです。
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最後に
今回は、『「麒麟がくる」の色問題は2話で修正?BS4K版の感想』についてご紹介しました。
このように、NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の第1話では、色がおかしいという問題が発生していました。
しかしながら、第2話では特に色が不自然なシーンはなかったので、修正されたのか、それとも問題があるのが元々第1話のみだったかという話になります。
第1話の色がおかしかった理由は色々考えられていますが、おそらく複数の種類のカメラを混在して撮影したことによる、色のバラツキを調整するためにああなったのかもしれません。
もしくは単に色をいじりすぎてしまったというカラーグレーディングの失敗の可能性も考えれられます。
なぜ「麒麟がくる」の第1話の色がおかしかったのかという本当の理由は内部関係者にしか分かりません。
果たして今後の「麒麟がくる」では、どのような色で視聴者を楽しませてくれるのか注目です。