「XAVC HS」とは?HEVC/H.265コーデックを採用で効率2倍
2020年10月に、ソニーの新しいデジタル一眼カメラである「α7S III (アルファセブンエス・スリー)」が発売されます。
「α7S III」は、コンパクトなフルサイズミラーレス一眼でありながら、バリアングル液晶を搭載し、像面位相差AFの対応、4K 120p、10bit Log撮影に対応するなど、動画撮影にも特化されたカメラとして注目されています。
そんな「α7S III」では、新しく「XAVC HS (エックスエーブイシー・エイチエス」というビデオフォーマットに対応しています(参考: 主な仕様 – α7S III)。
「XAVC HS」は、ソニーの動画規格である「XAVC」の新しいバージョンで、新しくHEVC/H.265コーデックを採用しています。
この「HEVC/H.265」は、従来の「XAVC S」で使われていた「AVC/H.264」と比較して2倍の圧縮効率となっています。
つまり、「XAVC HS」を使って撮影をすると、画質を落とさずにデータ容量を半分にできるのです(理論上は)。
また逆に、XAVC Sと同じビットレートで撮影すれば、XAVC HSは更に高画質に撮影することもできるようです。
そんなわけで今回は、ソニーの新しい動画フォーマットである「XAVC HS」について見ていきましょう。
「XAVC HS」とは?
そもそもXAVCとは?
そもそも「XAVC (エックスエーブイシー)」とは何なのでしょうか。
「XAVC」は、ソニーが開発・ライセンスしているビデオフォーマットです(参考: 業務用から民生用まで拡張性ある4K/HD高画質ビデオフォーマット「XAVC™」を開発)。
「XAVC」は、4KとHDの動画撮影のために使われる共通規格として開発され、2012年に発表されました。
2013年には、「XAVC」をベースに、コンシューマー向けの「XAVC S」が発表され、従来のAVCHDの後継規格としてビデオカメラや一眼レフカメラなどに広く採用されています。
これら「XAVC」と「XAVC S」は、どちらも「AVC/H.264」のコーデックが採用されています。
そのため、「XAVC」、「XAVC S」で4K動画を撮影すると、どうしてもファイルサイズが膨大になってしまうという問題がありました。
そこで、新しく登場したのが「XAVC HS」というわけです。
新しいXACV HSとは?
2020年に新しく「XAVC HS (エックスエーブイシー・エイチエス)」というビデオフォーマットが登場しました。
「XAVC HS」は、ソニーのミラーレス一眼カメラ「α7S III」で初めて採用される規格です。
「XAVC HS」は、新しく「HEVC/H.265」のコーデックを採用することで、「AVC/H.264」と比較して2倍の圧縮効率を実現しています。
つまり、単純計算では「XAVC HS」は「XAVC S」と同じ画質で撮影しても、データ容量を半分にすることができるのです(理論上は)。
そのため、例えば、XAVC HSの100Mは、XAVC Sの200Mと同等の画質となり、XAVC HSの75Mは、XAVC Sの150Mと同等の画質となります。
4K動画は撮影時のファイルサイズの大きすぎることから、採用が避けられてなかなか普及が進まない面もありましたが、「XAVC HS」はその問題を解決してくれることに期待されます。
すでに、アップルの「iPhone」は2017年から「HEVC/H.265」コーデックを使った動画の撮影に対応していました。
また、パナソニックの一眼レフカメラ「GH5」も独自に「HEVC/H.265」コーデックに対応していました。
そう考えると、ソニーの「HEVC/H.265」コーデックの対応はむしろ遅かったとも言えます。
XAVC HSの記録可能時間はこちら: 動画の記録可能時間
「XAVC HS」は画質を落とさずにデータ容量を半分にできる
新しい「XAVC HS」を使って撮影をすることで、「XAVC S」と同じ画質でデータ容量を半分にすることができます。
例えば、XAVC HSの200Mは、XAVC Sの400Mと同等の画質となり、XAVC HSの100Mは、XAVC Sの200Mと同等の画質、XAVC HSの75Mは、XAVC Sの150Mと同等の画質、XAVC HSの45Mは、XAVC Sの90Mと同等の画質になります。
そのため、「XAVC HS」は、4Kで撮影するとデータ容量が大きくなりすぎるという問題を解決してくれるかもしれません。
また逆に、XAVC Sと同じビットレートで撮影すれば、XAVC HSは更に高画質に撮影することもできます。
「XAVC HS」は、テレビ放送などの業務用の撮影はもちろん、YouTube動画の撮影などにおいても活躍しそうです。
「XAVC HS」は、これから4Kコンテンツが普及するきっかけになるかもしれません。
ちなみに、「HEVC/H.265」のコーデックはすでに、BS4K放送やUltra HD Blu-ray、Netflix、Amazon Prime Video、Apple TV+などに広く採用されています。
そのため、これからは「AVC/H.264」に代わって「HEVC/H.265」が主流になっていくことは間違いなさそうです。
編集が重くなることは避けられない?
「XAVC HS」は、画質は落とさずにデータ容量が軽くなるのですが、良いことばかりではありません。
「XAVC HS」に使われている「HEVC/H.265」のコーデックは、「AVC/H.264」と比べて動画編集の負荷が高く、いわゆる編集が重いことがよく言われています。
「HEVC/H.265」コーデックの動画をサクサク編集するには、GPU処理に最適化された「DaVinci Resolve」などのソフトや、高スペックな編集マシンが必要になってきます。
また、そもそも「XAVC HS」自体が新しいビデオフォーマットなので、使っている編集ソフトが対応していないという問題も考えられます。
おそらく、「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」などのメジャーなソフトはすぐにアップデートで対応してくれると思いますが、古いソフトを使っている人は別のソフトの乗り換えが必要になるかもしれません。
今後は間違いなく「HEVC/H.265」コーデックでの撮影が主流になってくるので、編集する側も適応していく必要がありそうです。
▼SONY「α7S III」はこちら
最後に
今回は、『「XAVC HS」とは?HEVC/H.265コーデックを採用で効率2倍』についてご紹介しました。
このように、新しい「XAVC HS」のビデオフォーマットでは、「HEVC/H.265」コーデックが採用されています。
「HEVC/H.265」のコーデックは、「AVC/H.264」と比べて圧縮効率が2倍と言われているので、画質を落とさずにデータ容量を半分にすることができます(理論上は)。
4K動画はデータ容量が膨大になってしまうことが問題でしたが、「XAVC HS」はこの問題を解決してくれるかもしれません。
しかしながら、「HEVC/H.265」のコーデックは「AVC/H.264」と比べて編集が重いとよく言われているので、「XAVC HS」の編集にはソフトやマシンを最適化する必要が出てきそうです。
果たして、新しい「XAVC HS」は今後どうなっていくのか注目ですね。