SONY「ZV-1」でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法!Premier Pro
今回は、「SONY ZV-1でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法」についてご紹介します。
2020年8月に、SONY(ソニー)から新しいカメラ「ZV-1 (ゼットブイ・ワン)」が発売されました。
SONY「ZV-1」は、「VLOGCAM」という、動画投稿者向けに特化されたカメラとして販売されていることが特徴です。
そんなSONY「ZV-1」は、「HLG (ハイブリッド・ログ・ガンマ)」を使ったHDR動画の撮影撮影に対応しています。
そんな中、「SONY ZV-1でHLG HDR撮影するのはどうするの?」、「HLG HDR動画はどうやって編集・書き出しするの?」と気になっている方もいると思います。
SONY「ZV-1」のHLG HDR動画を編集・書き出しするのは少しややこしいのですが、実際に「Adobe Premiere Pro」を使って制作することができました。
そんなわけで今回は、「SONY ZV-1でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法」について見ていきましょう。
SONY「ZV-1」でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法
目次
SONY「ZV-1」とは?
そもそも、SONY「ZV-1」とは何なのでしょうか。
「ZV-1 (ゼットブイ・ワン)」は、SONY(ソニー)の販売するカメラです。
「ZV-1」は、同じソニーのカメラである「サイバーショット」や「ハンディカム」とは異なる、「VLOGCAM (ブイログカム)」という新しいジャンルの製品となっています。
「VLOGCAM」は、「Vlog (ブイログ)」という、インターネットに動画投稿を行う人たちに向けて開発されたカメラです。
SONY「ZV-1」は、「1.0型 Exmor RS CMOSセンサー」を搭載し、24-70mm(F1.8-2.8)のズームレンズを搭載、4K 30pの動画撮影に対応、HLG HDRの動画撮影に対応しています。
また、「VLOGCAM」の特徴として、商品レビューモード、美肌モード、背景ボケとパンフォーカスの1発切替、動画撮影に特化されたAF(オートフォーカス)、手振れ補正機能などが搭載されています。
さらに、自撮りがしやすい約180°回転するバリアングル液晶も搭載されています。
このように、SONY「ZV-1」は、動画投稿の撮影に特化されたカメラとなっています。
続いては、実際に「SONY ZV-1でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法」について見ていきます。
SONY「ZV-1」でHLG HDRで撮影
▲まずは、「SONY ZV-1でHLG HDRで撮影する方法」について見ていきましょう。
SONY「ZV-1」でHLG HDR動画を撮影するためには、設定からHLGをオンにする必要があります。
まず、SONY「ZV-1」の「NENUボタン」を押して、設定メニューを開きます。
▲設定メニューを開いたら、「動画1 (1/9)」にある、「記録方式」と「記録設定」を設定します。
「記録方式」は、SONY「ZV-1」の最高画質である「XAVC S 4K」を選択するのがオススメです(フレームレートは24か30になります)。
「記録設定」は、HLGは後で変換する作業が必要なため、なるべく高画質で撮影するために「100M」を選択するのがオススメです。
フレームレートは、24か30のお好みを選択しましょう(24の方が編集は軽いです)。
「記録方式」と「記録設定」が設定できたら、次へ進みます。
▲次は、「色/WB/画像処理1 (9/12)」にある、「ピクチャープロファイル」を選択します。
▲「ピクチャープロファイル」を開いたら、「PP10」を選択します。
▲「PP10」を選んだら、右ボタンを押して詳細設定に入ります。
「PP10」の詳細設定に入ると、「ガンマ」の項目を変更することができます。
HLGの「ガンマ」には、「HLG(無印)」、「HLG1」、「HLG2」、「HLG3」の4種類が用意されています。
それぞれの違いとしては、ソニーのサイトに
・HLG: HDR撮影⽤のガンマカーブ。HDRの規格であるITU-R BT.2100のHybrid Log-Gamma相当の特性。
・HLG1: HDR撮影用のガンマカーブ。ノイズ低減を優先したモード。ただし、撮影できるダイナミックレンジは[HLG2]、[HLG3]より狭くなる。
・HLG2: HDR撮影用のガンマカーブ。ダイナミックレンジとノイズのバランスを考慮した設定。
・HLG3: HDR撮影用のガンマカーブ。[HLG2]よりも広いダイナミックレンジで撮影したい場合の設定。ただし、ノイズレベルが上がる。
※[HLG1]、[HLG2]、[HLG3]は同じ特性のガンマカーブで、ダイナミックレンジとノイズのバランスを変更したものです。それぞれ出力ビデオレベルの最大値が異なり、[HLG1]:87% 、[HLG2]:95%、[HLG3]:100%程度になります。
ピクチャープロファイル
と記載されています。
とりあえず片っ端から撮影して試してみたところ、「HLG(無印)」がノイズが少なく私の好みだったので、「HLG(無印)」を選択しました。
「HLG」の設定は、皆さんの環境に合わせて最適なものを選択してください。
「HLG」のガンマを選択したら、設定メニューに戻ります。
▲次は、「セットアップ1 (1/6)」にある、「ガンマ表示アシスト」の項目を選択します。
「ガンマ表示アシスト」は、「HLG(BT.2020)」を選択します。
以上で、SONY「ZV-1」でHLG HDR撮影する準備が完了なので、試しに撮影してみましょう。
「XAVC S」を「XAVC-Intra」にトランスコード
続いては、「XAVC SをXAVC-Intraにトランスコードする方法」について見ていきます。
SONY「ZV-1」では、HLG HDRで撮影した動画は、「XAVC S」というフォーマットで保存されます。
ところが、2020年10月21日時点では、Adobe Premiere Proで対応しているHDR動画のフォーマットは、「Apple ProRes」と「Sony XAVC-Intra」の2種類だけなのです(参考: 放送用 HDR)。
おそらく、いずれは「XAVC S」のHDR動画にも対応すると思いますが、現状では「XAVC S」のHDR動画はPremiere Proで使うことができません。
そこで、「Catalyst Browse (カタリスト・ブラウズ)」というソフトを使って、「XAVC S」から「XAVC-Intra」へトランスコードを行います。
「Catalyst Browse」は、ソニーが提供しているソフトで、ソニーのカメラで撮影した動画ファイルを管理することができます(WinとMacに対応)。
Webサイト: Catalyst Browse
▲「Catalyst Browse」をインストールしたら、ソニーのマイアカウントでログインして使える状態にします(ソニーのマイアカウントは無料で作成できます)。
「Catalyst Browse」を起動したら、SONY「ZV-1」で撮影したSDカードをパソコンに繋いで、撮影動画の一覧を表示します。
動画の一覧が表示されたら、①トランスコードしたいファイルを全て選択して、②共有ボタンを選択します。
▲共有メニューを開いたら、③保存先を選択し、④トランコード設定を、
- 色空間の出力: ソースと同じにする
- 形式: XAVC Intra
- フレームサイズ: ソースと同じにする
- フレームレート: ソースと同じにする
- レンダリングのプリセット: 最適な一致
に設定します。
この時、「色空間の出力」が「Rec.2020/HDR」になっていない場合は、HLG HDRで撮影できていないことになります。
準備ができたら、⑤エクスポートを選択してトランスコードを実行します。
ちなみに、「XAVC Intra」はH.264コーデックを使っていて、Class 300ではビットレートは200〜300Mbpsの間です(トランスコードをしても大きな画質の劣化は見られませんでした)。
拡張子が「.MXF」のファイルが出力されたら、トランコードが完了になります。
Premire Proで編集・書き出し
▲続いては、「Premire Proで編集・書き出し」について見ていきます。
今回使用するのは、「Adobe Premiere Pro 2020 (14.5.0)」になります(最新のバージョンをご利用ください)。
「Premiere Pro」を起動したら、「プロジェクト」の項目に、先ほどトランスコードした「.MXFファイル」を追加します(間違えてmp4を入れないようにしましょう)。
「.MXFファイル」を追加したら、ファイルを1つ選んで右クリックし、「クリップに最適な新規シーケンス」を選択しましょう。
もしくは、ファイルを「新規項目のアイコン」にドラッグ&ドロップをしても同じことができます。
▲シーケンスを作成すると、自動でHLG HDRのタイムラインが作成されているはずです。
念のために、シーケンスを右クリックして「シーケンス設定」を確認しましょう。
▲「シーケンス設定」の「作業カラースペース」が「Rec. 2100 HLG」になっていれば、無事にHLG HDRのタイムラインになっています。
もしも「Rec. 709」になっている場合は、撮影時の設定を間違えているか、XAVC-Intraへのトランコードがうまくできていないことになります。
▲「Premiere Pro」の上部にある「カラー」のタブを選択すると、色調整をすることができます。
SONY「ZV-1」のPP10で撮影すると、初期状態のままではコントラストが低く眠たい画質になっているため、カラーコレクションを行いましょう。
「Lumetri カラー」の項目から、色補正を行うことができます。
難しい場合は、まず「基本補正」で「自動」を選択してから補正すると、とても楽にできます。
この時、どれだけ補正をかけても色が薄い場合は、撮影時の設定を間違えているか、XAVC-Intraへのトランコードができていないことになります。
▲編集とカラーコレクションが終わったら、「書き出し」を行います。
メニューバーの「ファイル」から、「書き出し」、「メディア」を選択します。
▲「書き出し設定」では、形式を「QuickTime」のプリセット「Apple ProRes 422 HQ HLG」を選択します。
保存先を指定したら、あとは「書き出し」でエンコードが始まります。
▲「Apple ProRes 422 HQ HLG」で書き出しを行うと、拡張子「.MOVファイル」が出力されます。
Apple ProResを使っているので、ファイルサイズはかなり大きいですが、エンコードの負荷は少ないです。
書き出した「.MOVファイル」は、そのままYouTubeにアップロードすることができます(128GBまで)。
YouTubeにアップロードすると、一定時間が経てば「4K HLG HDR」で視聴できるようになります。
iPhone・iPadのYouTubeアプリや、HDR対応のスマートテレビなどで確認しましょう。
▲こちらが、今回作成した「ZV-1」のHLG HDR動画のサンプル動画です(参考: ZV-1 HLG HDR サンプル)。
以上が、「SONY ZV-1でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法」になります。
▼VLOGCAMのSONY「ZV-1」はこちら
最後に
今回は、『SONY「ZV-1」でHLG HDRで撮影・編集・書き出しする方法!Premier Pro』についてご紹介しました。
このように、VLOGCAMのSONY「ZV-1」では、HLG HDRで撮影し、Premiere Proを使って編集・書き出しをすることができます。
現状では、「XAVC S」のHLG HDRが「Premire Pro」に対応していないので、毎回トランスコードの作業が必要になるのが面倒です。
とは言っても、最近はiPhone 12がDolby Visionに対応したりと、HDR動画の波が徐々にきているため、今後はPremiere Proで扱えるHDRファイルの種類も増えると思います。
HDR動画で撮影すると、SDRよりもダイナミックレンジが圧倒的に広いので、白飛びや黒つぶれを起こすことなく撮影できるのが最大のメリットです。
おそらく、今後は「HDR」での動画制作がスタンダードになっていくのではないでしょうか。
皆さんも、SONY「ZV-1」でHLG HDRで撮影・編集・書き出しを行なってみてはいかがでしょうか。