日本の音楽市場が世界4位に転落の危機?イギリス、ドイツがサブスクで急成長中
日本の音楽市場と言えば、世界ではアメリカに次いで2番目に大きく、日本は長年音楽大国であると言われてきました。
ところが、昨今の世界の音楽市場のあり方を見ていると、このままでは日本の音楽市場は世界2位から世界4位へと転落してしまう危機にあることが分かってきました。
日本の音楽市場は、2007年の約4,666億円から2020年約2,727億円へと、この13年の間に約40%以上減少してしまいました(参考: 音楽配信は成長続くが音楽ソフトは縮小…音楽CD・有料音楽配信の売上動向(最新) – ガベージニュース)。
日本の音楽市場がここまで縮小してしまった原因は、皆さんご存知の通りにCDが売れなくなってきたことで、これは日本だけでなく世界でも同じようにCDの販売減少が続いています。
ところが、ここで重要になってくるのはここ数年の世界の音楽市場は成長を続けていて、CDの販売減少を上回って音楽配信の売上が増加していることです(参考: 2020年全世界の音楽市場の売上が7.4%の成長 6年連続のプラス成長 – VOICE 洋楽)。
2020年の世界の音楽市場を見ると、音楽大国である1位アメリカ、3位イギリス、4位ドイツ、5位フランスでは、いずれもApple MusicやSpotifyなどのサブスクリプションの契約数が増えたことによりプラス成長となりましたが、2位日本だけはなぜかマイナス成長が続いています。
そして、このまま日本の音楽市場のマイナス成長と世界の音楽市場のプラス成長が続けば、日本の音楽市場が世界2位から世界4位に転落する日は遠くないと言えます。
そんなわけで今回は、「日本の音楽市場が世界2位から世界4位に転落の危機にある理由」について見ていきましょう。
日本の音楽市場が世界4位に転落の危機?
2020年の日本の音楽市場は約2,727億円
まずは、音楽市場世界2位の日本の2020年の売上を見ていきます。
2020年の日本の音楽市場は、約2,727億円であったようです(参考: 20年の国内音楽市場2727億円、デジタル増も全体は9%減: 日本経済新聞)。
日本の2020年の音楽市場は、2019年と比較して約9%の減少となっています。
日本の2020年の音楽市場の内訳を見てみると、音楽CD・DVDなどのソフトの売り上げが約1,944億円となっていて、全体の割合では71.3%となっています。
そして、音楽ダウンロード・ストリーミングなどの配信の売り上げが約783億円となっていて、全体の割合では28.7%となっています。
つまり、2020年時点の日本の音楽市場を見ると、ソフト(物理メディア)と配信(デジタルメディア)の割合がおおよそ7:3になっていることが分かります。
市場全体の割合から見た場合、日本はまだまだCD大国であって音楽配信の普及は限定的なようです。
確かに感覚としても、身の回りでApple MusicやSpotifyに有料課金して音楽を聞いている人はそれほど多くない印象で、YouTubeの無料視聴で十分な人や、そもそも音楽すら聞かないという層が増えているという話もあります(参考: 音楽離れの実態は…年齢階層別の「音楽との付き合い方」の中身をさぐる(2021年公開版)(不破雷蔵) – 個人 – Yahoo!ニュース)。
このように、2020年の日本の音楽市場は約2,727億円となっています。
2020年のイギリスの音楽市場は15億5,000万ポンド(約2,392億円)
続いては、音楽市場世界3位のイギリスの2020年の売上を見ていきます。
2020年のイギリスの音楽市場は、15億5,000万ポンド(約2,392億円)であったようです(参考: UK music sales reached £1.55 billion in 2020 | Complete Music Update)。
イギリスの2020年の音楽市場は、2019年と比較して約6.8%の増加となっています。
イギリスの2020年の音楽市場の内訳を見てみると、音楽CD・DVDなどのソフトの売り上げが2億7,160万ポンド(約419億円)となっていて、全体の割合では18%となっています。
そして、音楽ダウンロード・ストリーミングなどの配信の売り上げが12億7220万ポンド(約1,963億円)となっていて、全体の割合では82%となっています。
つまり、2020年時点のイギリスの音楽市場を見ると、ソフト(物理メディア)と配信(デジタルメディア)の割合がおおよそ2:8になっていることが分かります。
市場全体の割合から見た場合、イギリスは音楽配信大国であってCDはほとんど消えかけているようです。
このことから、イギリスへ行けば多くの人々がApple MusicやSpotifyに有料課金して音楽を楽しんでいる姿を見れるということになりそうです。
驚いたことが、イギリスの2020年の音楽配信の売り上げが12億7220万ポンド(約1,963億円)と非常に高く、これは日本の2020年の音楽ソフトの売り上げ約1,944億円とほぼ同じ金額です。
このように、2020年のイギリスの音楽市場は15億5,000万ポンド(約2,392億円)となっています。
2020年のドイツの音楽市場は17億9,000万ユーロ(約2,333億円)
続いては、音楽市場世界4位のドイツの2020年の売上を見ていきます。
2020年のドイツの音楽市場は、17億9,000万ユーロ(約2,333億円) であったようです(参考: 2020年ドイツ音楽市場が過去10年で最高売上更新。サブスク前年比25%増、CD縮小でシェア2割 | Musicman)。
ドイツの2020年の音楽市場は、2019年と比較して約9%の増加となっています。
ドイツの2020年の音楽市場の内訳を見てみると、音楽CD・DVDなどのソフトの売り上げが5億1015万ユーロ(約675億円)となっていて、全体の割合では28.5%となっています。
そして、音楽ダウンロード・ストリーミングなどの配信の売り上げが12億7985万ユーロ(約1,695億円)となっていて、全体の割合では71.5%となっています。
つまり、2020年時点のドイツの音楽市場を見ると、ソフト(物理メディア)と配信(デジタルメディア)の割合がおおよそ3:7になっていることが分かります。
市場全体の割合から見た場合、ドイツは音楽配信が主流になりCDはもはや少数派となっているようです。
2020年の日本とドイツの音楽市場を比較した場合、ちょうどソフト(物理メディア)と配信(デジタルメディア)の割合が逆になっているのが面白い点です。
このように、2020年のドイツの音楽市場は17億9,000万ユーロ(約2,333億円)となっています。
日本の音楽市場が成長するにはサブスクを流行らせるしかない?
音楽市場世界2位の日本は売上の減少が続いていて、世界3位のイギリスと世界4位のドイツは成長が続いています。
2020年は日本は前年から約9%減少、イギリスは約6.8%増加、ドイツは約9%増加となりました。
このまま単純に2021年の売上を計算すると、日本は約2,481億円、イギリスは約2,408億円、ドイツは2,353億円となります。
つまり、このままいけば2022年〜2023年には日本の音楽市場の売上はイギリスとドイツに追い抜かれることになり、世界ランキングは4位に転落してしまうことになります。
もちろん、2020年はCOVID-19の流行で音楽配信が例年以上に成長したという見方もできるので、実際はもう少し成長ペースが落ちるかもしれませんが、いずれにしてもこのままでは日本の音楽市場が世界2位を維持するのは難しいことに変わりはありません。
これから日本の音楽市場が成長して世界2位の座を守れる唯一の方法は、やはりApple MusicやSpotifyなどの有料の音楽サブスクリプションを流行らせるしかなさそうです。
これまで日本はCD大国と言われていて、「CDが売れるから配信はいらない」という見方もありましたが、現実問題としてCDの売上減少にブレーキがかからない以上はサブスクに乗り換えるしかもう生き残る道は残されていないのです。
日本の音楽配信の売上は約783億円で全体の割合はたったの29%程度です。
しかしながら、これはポジティブに考えれば日本にはまだまだ音楽のサブスクが普及する余地があるということになります。
日本で音楽配信の売上があと2.5倍くらいに増加すれば、現在のCDの売上に近づくので生き残れる可能性もグッと上がります。
特に最近は「Apple Music」がロスレスやハイレゾに対応したので、今後CDから乗り換えてくれるユーザーも増えるかもしれません。
このように、日本の音楽市場が今後成長するためには、有料のサブスクリプションを流行らせるしかなさそうです。
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最後に
今回は、『日本の音楽市場が世界4位に転落の危機?イギリス、ドイツがサブスクで急成長中』についてご紹介しました。
このように、日本の音楽市場は2020年時点では世界2位ですが、CDの売上低下によって年々売上が減少傾向にあります。
その一方で、世界3位のイギリス、世界4位のドイツはストリーミングの成長によって売上が増加し続けています。
2020年の音楽市場を見ると、日本とイギリスの売上の差は約335億円、日本とドイツの差は394億円と、差が縮まってきていて後ろから追い上げられている状況です。
このまま推移すると、2022年〜2023年には日本はイギリスとドイツに抜かされて世界4位に転落してしまいます。
日本の音楽市場が今後成長するためには、Apple MusicやSpotifyといった有料のサブスクリプションのユーザーをもっと増やす必要があります。
果たして、日本の音楽市場は今後どうなっていくのか注目ですね。