「Netflix」のアカウント共有ができなくなる?それとも単なる乗っ取り防止?
2020年3月12日頃より、「Netflix (ネットフリックス)」がパスワードを共有しているユーザーを取り締まり始めたというニュースが出てきました(参考: Netflix、不正なパスワード共有を取り締まるテスト開始)。
具体的には、「Netflix」のアカウントを共有して使っているユーザーに対して、
Start your own Netflix for free today. If you don’t live with the owner of this account, you need your own account to keep watching.
今すぐ無料でNetflixを始めることができます。このアカウントの所有者と同居していない場合、視聴を続けるには自分のアカウントが必要となります。
というメッセージを表示し、新規アカウントを作成するように促す画面が出てくるという話です。
さらに、このメッセージの下には、
Is this your account? We’ll send you verification code.
これはあなたのアカウントですか?認証コードをお送りします。
とも記載されていて、Eメールやテキスト(SMS)で認証コードを送ることもできます。
これまでの「Netflix」のアカウント共有は、2016年にCEOのリード・ヘイスティングス氏が共有を認める発言をしていたように(参考: NetflixのCEO、リード・ヘイスティングス、「アカウントの共有はOK」)、特にペナルティもなくグレーゾーンとして認められていました。
ところが、2021年になって「Netflix」はアカウント共有に関する方針を変え始めたのでしょうか。
「Netflix」のアカウント共有ができなくなる?
アメリカ・カナダの会員数が頭打ちのため?
なぜ「Netflix」が突然アカウント共有を取り締まり始めたのかという背景には、アメリカの会員数が頭打ちになってきていることが関係していると思われます。
「Netflix」は、2020年末に世界2億人を突破していますが、国ごとの成長率を見るとヨーロッパとアジア圏は伸びているものの、アメリカ・カナダ圏はほとんど成長していません(参考: 「Netflix」の世界会員数が2億人突破!次は日本市場に力を入れる?)。
「Netflix」のアメリカ・カナダの会員数は2020年末時点で7,394万人で、1アカウント2人以上で利用しているユーザーが多いと考えると推定で1億5,000万人近くの総ユーザーがいることになります。
「Netflix」はアメリカのサービスというだけあって、アメリカ・カナダ圏で最も早く普及し、そして最も早く頭打ちになってしまった感があります。
「Netflix」のCEOのリード・ヘイスティングス氏がアカウント共有を認める発言をした2016年は、まだまだアメリカ・カナダ圏の成長が続いていたため、アカウント共有をそれほど問題視していなかったのかもしれません。
ところが、2021年になって「Disney+」、「HBO Max」などの強力なライバルの新規参入も相待って、「Netflix」のアメリカでの成長が鈍り、いよいよ焦りを感じ始めたのかもしれません。
つまり、「Netflix」のアメリカ・カナダでの会員数をさらに増やすためには、既存のアカウント共有をしているユーザーを締め出して新規登録させるしかないという苦肉の策なのでしょうか。
それとも単なる乗っ取り防止?
The Vergeの記事では、今回の「Netflix」の措置はビジネス上の理由のほかに、セキュリティ上の理由であるといったことを言及しています(参考: Netflix is trying to crack down on password sharing with new test)。
「Netflix」の広報担当者によると、
“This test is designed to help ensure that people using Netflix accounts are authorized to do so.”
“このテストは、Netflixのアカウントを使用する人がその権限を持っていることを確認するためのものです。”
Netflix is trying to crack down on password sharing with new test
とのことです。
「Netflix」はアカウントの乗っ取り被害がしばしば報告されていて、謎の海外ユーザーに「Netflix」のアカウントを不正利用されてしまったという日本のユーザーもいます(参考: Netflixのアカウントが乗っ取られた!対応と対策)。
というのも、「Netflix」のアカウントは世界共通仕様で、デフォルトの状態ではメールアドレスとパスワードさえ一致すれば「Netflix」が視聴できる世界の190ヵ国以上の国からアクセスできてしまいます。
この便利な仕様がアダとなって、「Netflix」のアカウントの不正利用や乗っ取りといった被害も増えてしまっているようです。
つまり、これらのセキュリティの問題に対応するために、「Netflix」は今回「認証」を求めるメッセージを出すようになったと考えることもできます。
そのため、「Netflix」のアカウントに関するメッセージが表示された場合は、認証コードを送って認証をすれば通常通りに視聴できるようになるようです。
となると、「Netflix」のアカウントを離れて暮らす家族や友人などと共有して使っているユーザーは、アカウントの持ち主にコード認証してもらえば、これまで通りに「Netflix」を視聴できるということになります。
このように、「Netflix」を家族や友人と使っているユーザーであれば、今回の措置に対してそこまで焦る必要もなさそうです。
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最後に
今回は、『「Netflix」のアカウント共有ができなくなる?それとも単なる乗っ取り防止?』についてご紹介しました。
このように、「Netflix」のアカウントを共有して使っているユーザーに対して、メッセージが表示されるようになってきているようです。
「Netflix」がアカウント共有のユーザーにメッセージを出すようになった理由としては、アメリカ・カナダ圏の会員数増加が頭打ちになってきたので、新規登録させたいという理由が1つに考えられます。
もう1つの理由は、「Netflix」の不正利用やアカウント乗っ取りを防ぐために、メッセージを表示して「認証コード」を必要としているという理由です。
おそらく、「Netflix」を使っていて今回のメッセージが表示された場合は、「認証コード」を送って認証することで通常通りに「Netflix」を視聴できるようになると思います。
果たして、「Netflix」のアカウント共有に関する措置は今後どうなっていくのか注目ですね。