「Apple Vision Pro」の機能6選を冷静に評価!何ができる?
WWDC23で、アップルの新製品「Apple Vision Pro (アップル・ビジョン・プロ)」が発表されました。
この発表には私も久しぶりにエキサイトさせられましたし、iPhoneや iPadが出た頃のようなワクワク感もありました。
しかしながら、いささか興奮しすぎなので少し冷静に見ていきたいと思います。
実際に「Apple Vision Pro」が手元にあると想像して、この機能は日常で使うのか?と考えていきたいと思います。
「Apple Vision Pro」の機能6選を冷静に評価
「Apple Vision Pro」の使用感は?
まずは、「Apple Vision Pro」はどのように使用する製品なのかおさらいしておきましょう。
まだ実物がないので、アップルのWWDC、PV、プレスリリース、そして実際にWWDCに招待された色んな人の記事や動画を漁って情報収集していました。
参考:
- Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ – Apple (日本)
- “PV詐欺”じゃない、本当にすごい 「Vision Pro」を試してわかった、Appleが作りたい未来(1/3 ページ) – ITmedia NEWS
- 【西田宗千佳のRandomTracking】Apple Vision Pro「やばい」。掛け値なしに驚きの体験、実機レポート – AV Watch
- 「Apple Vision Pro」を先行体験! かぶって分かった上質のデジタル体験(1/3 ページ) – ITmedia PC USER
- 【この後13時半】Danbo-side スペシャルライブ!| #backspacefm #wwdc23
イメージとしては、ゴーグルを被ると部屋の中にデカいモニターが浮かんでいる感じになると思います。
事前にキャリブレーションを行うことで、あなたの頭や顔、目、耳に最適化してくれるようです。
そしてモニターの画面サイズはデジタルクラウンで拡大縮小が可能です。
そのデカいモニターにホーム画面やアプリの画面が表示されます。
ホーム画面は背景が透明なのでアプリアイコンとサイドメニューだけ表示されます。
マウスカーソルやポイントは「視線」を動かすことで操作できます。
「Apple Vision Pro」は内蔵カメラの精度が高いので、どこを見ているのか正確に検知できるようです。
クリックやタップの操作は、左右どちらかの手の親指と人差し指をくっつける🤌ことで行い、スクロールしたい時は指で上下にフリックします。
こちらも内蔵カメラで正確に指の動きを検知するので誤動作のストレスがないようです。
まとめると、ゴーグルを被ると部屋にデカいモニターが出現し、そこにホーム画面やアプリの画面が表示され、「目線」や「指のジェスチャー」で操作するといった具合です。
次は、「Apple Vision Pro」で利用できる機能について冷静に見ていきます。
機能1. 動画の視聴 (期待度5/5)
1つ目のApple Vision Proの機能は「動画の視聴」です。
「Apple Vision Pro」を使うことで一番恩恵があるのは「動画の視聴」だと思っていて、私はこれのためだけにでも欲しいくらいです。
これまでのスマホ、タブレット、ラップトップPCでは画面サイズに限界があって、せいぜい5〜15インチ程度でした。
デスクトップPCでも20〜30インチ程度の画面サイズなので、映画を見るにはイマイチ迫力に欠けるのが課題でした。
大型テレビでは40〜75インチ、プロジェクターとスクリーンを使えば100〜200インチの大画面で見れますが、設置が大変ですし気軽に動かしたり持ち運ぶことができません。
それが、「Apple Vision Pro」を使えばどこでも大画面で動画が見れるようになるので、一種の視聴革命になると期待しています。
「Apple Vision Pro」では、スクリーンの拡大の機能を使うことで部屋の狭さに関係なく横幅30mのスクリーンを表示できるようです。
横幅30mは、16:9で約140インチとなります。
さらに、「Apple Vision Pro」は片目4K以上の解像度なので大画面でもボヤけることなく高精細に表示してくれます。
アップルは以前から高画質コンテンツの提供に力を入れていて、「Apple TVアプリ」ではiTunes映画とApple TV+で4K HDR対応のコンテンツが多数配信されています。
また、「Netflix」、「Disney+」、「Amazon Prime Video」でも4K HDR対応コンテンツの配信が行われています。
これまでは4K HDR対応コンテンツはオーバースペックであり、スマホやPCで動画を視聴するユーザーには不要とされてきました。
それが、「Apple Vision Pro」の登場で誰もが簡単に大画面4Kコンテンツを楽しめるようになるわけです。
ちなみに、「Apple Vision Pro」は3D動画にも対応するのですが、そもそも3Dコンテンツが少ないのであまり期待しない方がいいかもしれません(これを機に増えるかもしれませんが)。
機能2. ウェブブラウザ (期待度2/5)
2つ目のApple Vision Proの機能は「ウェブブラウザ」です。
「Apple Vision Pro」ではウェブブラウザが使えるのですが、でっかい画面で見て使いやすいかどうかは疑問です。
スマホ、ダブレット、PCの中でウェブブラウザの利用頻度が最も高いのがスマホでその次がPCです。
このことから分かるのは、ウェブブラウザを使う上で大事なのは楽な姿勢ですぐ使えることです。
「Apple Vision Pro」は使える姿勢が制限されますし、使うまでにゴーグルを頭にセットする過程が必要になるので調べ物をしたいときにパッと使えません。
また、ブラウザでは記事を読むことが中心になるので、文字を読むのに大画面は必要ないとも言えます(むしろ見づらいのでは)。
それに加えて、操作性も物理的にタッチするスマホやマウス操作のPCに比べると、「Apple Vision Pro」のジェスチャー操作でのウェブブラウジングはやたら時間がかかってフラストレーションが溜まることが予想されます。
機能3. Macの外部モニター (期待度4/5)
3つ目のApple Vision Proの機能は「Macの外部モニター」です。
これは意外といいかもしれない機能で、「Apple Vision Pro」はMacBookを開いて目線を向けるだけで「Apple Vision Pro」に外部モニターを映すことができます。
仕組みとしてはおそらくワイヤレスの画面ミラーリングを使うことになると思いますが、どこでも外部モニターを表示できるのは便利だと思います。
機能4. 空間再現写真・ビデオ (期待度4/5)
4つ目のApple Vision Proの機能は「空間再現写真・ビデオ」です。
これは全くの未知数で、「Apple Vision Pro」では内蔵の3Dカメラを使って3Dの写真・動画が撮影できます。
これがどのようなクオリティになるのか全く分かりませんが、アップルのPVでは
「思い出をのぞき込んでいるような感覚になります」
と言っているので期待してしまいます。
「Apple Vision Pro」は搭載されているカメラの数が多いため、これまでの3D写真・動画とは全く違ったものになる可能性があり、ひょっとしたら写真・動画のあり方が変わることも考えられます。
また、「空間再現写真・ビデオ」で撮影された動画をYouTubeなどに投稿したり、販売するストアなども出てきそうなので新しい市場を開拓する予感はあります。
しかしながら、「空間再現ビデオ」は動画のファイルサイズはまぁまぁ大きくなりそうなので、iCloudのストレージをかなり圧迫しそうなのが心配です。
機能5. ゲーム (期待度1/5)
5つ目のApple Vision Proの機能は「ゲーム」です。
デモでは「Apple Arcade」が紹介されていましたが、おそらく「iPad」向けのゲームアプリも遊べると思います。
これに関してはあまり期待していません。
その理由は、「Apple Arade」のラインナップがショボいためです。
また、「iPad」向けのゲームアプリもソシャゲ課金のものが中心なので「Apple Vision Pro」の大画面で遊びたいかと聞かれれば微妙です。
「Apple Vision Pro」はM2チップを搭載しているので、おそらくMac向けの「バイオハザード」や「デスストランディング」などのゲームアプリも動くようになる可能性もありますが、それでもラインナップがショボいことに変わりはありません。
やはり、PCゲームやPlayStationに比べると遊べるゲームが少なすぎます。
そもそもM2ではスペック不足なので、AAAタイトルは1080pでの動作が限界でせっかくの大画面もあまり活かせないと思います。
機能6. ARアプリ (期待度3/5)
6つ目のApple Vision Proの機能は「ARアプリ」です。
「Apple Vision Pro」のデモで恐竜が飛び出してくるのがすごかったという記事をいくつか見ましたが、実際「Apple Vision Pro」を入手したとして、そういう類のアプリは1回だけ利用して終わると思います。
すでにiPhone・iPadでもARKit対応のアプリが利用できますが、一度使うと飽きてしまうものが多いので「Apple Vision Pro」でもそんなに使わないのではないかと思います。
ですが、仕事や教育などで良い使い方ができるアプリが出てくれば活用の幅も広がるかもしれません。
疑問1. ある程度広い部屋が必要なのでは?
「Apple Vision Pro」の説明を一通り聞いて思ったことは、ある程度部屋の広さが必要で、「寝室のような狭い部屋では使えないのではないか?」ということです。
これに関しては、部屋が狭いとディスプレイが壁の向こうに貫通してしまうこともあるようです(参考: Apple Vision Pro体験者が7つの疑問に答える(後編)。いったい何に使うの? 狭い日本の部屋ではどうなる? | テクノエッジ TechnoEdge)。
疑問2. 壁に向かって使えないのでは?
「Apple Vision Pro」の利用はある程度前方の距離が必要になると思うので、壁に向かって机をくっつけて使うというのは難しいかもしれません。
部屋のレイアウトを変えて前方の距離を確保する必要がありそうです。
疑問3. 部屋に物が多いと使えないのでは?
iPhone・iPadでARKitを使う時は、フロアーをスキャンできる状態にしておかないといけないので、物が多いと正しくスキャンできません。
おそらく「Apple Vision Pro」も同じで、部屋に物が多いとうまくスキャンできずに使えない可能性があります。
事前に部屋の物を片付けてスッキリさせておく必要がありそうです。
疑問4. 重さは?頭部への負担は?
実際に「Apple Vision Pro」のデモを30分くらい使った人の感想では疲れは感じなかったようです。
とは言っても、デモは最適化された環境での使用であることに加えて、30分じゃ短すぎるのが正直なところです。
実際に自分の家で数時間ぶっ通しで使った時の頭部や眼球の負担は全く分かりません。
この問題をクリアできていれば「Apple Vision Pro」はかなり優れた製品になると思います。
疑問5. 基本はコンセント運用?
アップルの公式発表では、「Apple Vision Pro」のバッテリーは2時間程度の使用が限界で、一日中使うにはコンセントからの電源供給が必要とのことです。
PVにはコンセントに繋がった「Apple Vision Pro」見ることはできませんでしたが、頭から長いケーブルが垂れてコンセントに刺さっているところを想像するとちょっとマヌケです。
また、部屋の中を動き回るときにケーブルの長さが足りなくてピーン!ってなったり、線がすっぽ抜けることもしょっちゅう起こりそうです。
そう考えると、あまり動き回らずに同じ場所で立ったり座ったりしているのが無難な使い方となりそうです。
「Apple Vision Pro」快適にバッテリー運用するには現状のリチウムイオン電池では限界なので、今後2030年にかけて次世代バッテリーが登場するのを待つことになります。
2024年モデルが第1世代となるため、2030年の第6世代くらいになるとかなり改善が進んでいるのかもしれませんね。
2030年代のオフィスは机と椅子だけになる?
「Apple Vision Pro」が優れた製品で普及した場合、将来のオフィスはどうなっていくでしょうか。
部屋に物があると邪魔なので、机と椅子だけ用意したシンプルなオフィスが増えることになるかもしれません。
従業員たちは皆んなゴーグルを被っていて何もないところで何かをやっているという奇妙な光景になるのでしょうか。
▼「M2 MacBook Air」はこちら
▼「Apple TV 4K」はこちら
最後に
今回は、『「Apple Vision Pro」の機能6選を冷静に評価!何ができる?』についてご紹介しました。
このように、「Apple Vision Pro」の主な機能には①動画の視聴、②ウェブブラウザ、③Macの外部モニター、④空間再現写真・ビデオ、⑤ゲーム、⑥ARアプリなどがあります。
この中で特に期待してるのが動画の視聴、Macの外部モニター、空間再現写真・ビデオになります。
果たして、「Apple Vision Pro」は実際はどのような製品なのか、発売が楽しみですね。