グーグルの「Stadia(スタディア)」が流行ったら家庭用ゲーム機はどうなるの?
グーグルは2019年3月19日(米時間) に、新しいクラウドゲームプラットフォームとなる「Stadia (スタディア)」を発表しました(参考: グーグル、画期的なゲームプラットフォーム「STADIA」発表–3Dをクラウドで処理)。
「Stadia」には、すでにUbisoft、id Software、TEQULIA WORKS、Q-Gamesなどのゲームメーカーの参入が決まっていて、100本以上のタイトルが対応予定のようです。
これまでもインターネットのストリーミング配信でゲームをプレイする「クラウドゲーム」と呼ばれるものは、ソニーの「PS Now」や、スイッチの「バイオハザード7 (クラウド版)」、「アサシンクリード オデッセイ (クラウド版)」などがありました。
しかしながら、「PS Now」はタイトルが旧作ばかりで、月額料金が¥2,500と高かったり、スイッチの「バイオハザード7」も通信環境がシビア(通信速度が遅かったりサーバーが混雑すると遊べない)などで、あまり評判は良くありませんでした。
「Stadia」がこれまでのクラウドゲームと違う点は、データーセンターが世界7,500カ所のエッジノードに接続してグラフィックを処理し、4K 60fpsでの配信を実現している点(将来は8K120fps対応を目指す)、PCのChromeやスマホ、テレビなど、既存のプラットフォームでプレイできる点です。
さらに、AMDのカスタムGPUを採用することでPS4 ProとXbox One Xを合わせた処理能力よりも高いとしています。
クラウドゲームでここまで高い性能を実現しているものは今までにありませんでしたし、強力なクラウドサーバーを提供してきたグーグルだからこそ実現できたことでもあります。
果たして、「Stadia」の登場でクラウドゲームが主流になる日がやってくれば、家庭用ゲーム機はどうなるのでしょうか。
グーグルの「Stadia(スタディア)」が流行ったら家庭用ゲーム機はどうなるの?
すぐに家庭用ゲーム機が無くなることはない?
グーグルが「Stadia (スタディア)」を発表した翌日の2019年3月20日(日本時間)、任天堂とソニーの株価が一時4%以上下落しました(参考: 強敵グーグル参入でソニーや任天堂株下げる、自社株買いも終了)。
下落の理由は、「グーグルの参入によって家庭用ゲーム機市場が厳しくなるだろう」という予想からのようです。
「Stadia」は2019年内にアメリカ、イギリス、カナダ、ヨーロッパで開始予定で、料金などはまだ発表されていません。
「Stadia」はすでに持っているパソコンやスマホ、テレビなどでプレイできるため、サービスの評判によってはユーザーを一気に獲得できる可能性があります(専用のコントローラーがあればさらに快適)。
しかしながら、「Stadia」のサービス開始時点ではゲームソフト100本程度と、現状のPS4、Xbox Oneのタイトル数には及ばないので、すぐに家庭用ゲーム機のユーザーが奪われるということはないと思います。
とは言っても、かつてiPhone・Andoridといったスマホの登場で携帯ゲーム機市場が破壊された例があるので、数年先にはどうなっているか分かりません。
2020年代はクラウドゲームが主流に?
2020年代は、おそらく5Gの普及も後押ししてクラウドゲームが主流になっていくことは間違いなさそうです。
音楽・動画配信も2000年代はダウンロード配信が主流でしたが、2010年代にはすっかりストリーミング配信に置き換わってしまいました(00年代のストリーミングは画質が悪かった)。
さらに、グーグルと同じく強力なクラウドサーバーを持っているアマゾンも、2020年にクラウドゲームに参入予定であるという噂もあります(参考: Amazonが独自のゲームストリーミングサービスを計画中、2020年にサービス開始との噂)。
従来の家庭用ゲーム機を手がけてきた任天堂、ソニー、マイクロソフトも、今後はクラウドゲームの展開に力を入れていく必要が出てきます。
おそらく2020年代は、グーグル、アマゾン、任天堂、ソニー、マイクロソフトの熾烈なクラウドゲーム戦争が勃発することになりそうです。
クラウドゲーム戦争勝利の鍵を握るのは、強力なクラウドサーバーを持っているところになるので、おそらくグーグルとアマゾンの2強になるかもしれません。
遅延問題はどうなの?
強力なクラウドサーバーを持っているグーグルとは言っても、所詮はクラウドゲームなので遅延の問題は避けられないところです。
「Stadia」は4K 60fpsに対応するので、解像度とフレームレートは高いのですが、遅延(コントローラを操作してからのレスポンス)はどうなのでしょうか。
実際にStadiaでアクションゲームを体験した人のレポートでは、遅延は少し気になるものの、プレイには支障のないレベルとのことです(参考: Googleの新プラットフォーム“STADIA”体験リポート。遅延は少し気になるものの『アサシン クリード オデッセイ』のプレイには大きな支障なし【GDC 2019】)。
このように、現時点では遅延が若干あるようなので、ガチでプレイするゲーマー勢からは敬遠される恐れがあります。
とは言っても、今後アップデートを重ねるうちに遅延の問題も徐々に解決されていくと思います。
グーグルとしては、まずはユーザーにクラウドゲームをプレイさせて、データを集めた上でより快適にプレイできるように改善していくのではないでしょうか。
クラウドゲーム自体がまだまだ黎明期なので、今後の進化に期待したいところです。
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最後に
今回は、『グーグルの「Stadia(スタディア)」が流行ったら家庭用ゲーム機はどうなるの?』についてご紹介しました。
このように、グーグルの「Satadia」がサービス開始しても、しばらくは家庭用ゲーム機に影響はなさそうです。
しかしながら、これから数年先はクラウドゲームが主流になっていく可能性が高そうです。
とは言っても、任天堂は自社のゲームタイトルをStadiaに提供することはないと思うので、任天堂スイッチはしぶとく生き残っていくかもしれません。
また、任天堂スイッチがStadiaに対応してくれれば、ハイエンドなサードパーティのゲームと、任天堂のゲームの両方がどこでも楽しめる理想のゲーム機になります(4K非対応ですが)。
果たして、今後のゲーム市場が一体どうなっていくのか、目が離せませんね。