ジブリが日本だけ配信されないのはなぜ?どのサービスになる?
スタジオジブリの映画21作品が、定額動画配信サービスの「Netflix (ネットフリックス)」で2020年2月より順次配信されることが決まりました(参考: Netflix、スタジオジブリの21作品放映権獲得(日本と北米以外で))。
「Netflix」でジブリ映画が配信されるのは、日本・アメリカを除く国となっています(カナダは当初非対応でしたが後から対応済み 参考: 外堀徐々に埋まる! Netflix、カナダでのスタジオジブリ作品の配信を開始 – GAME Watch)。
アメリカでは、2020年5月から始まった「HBO Max (エイチビーオー・マックス)」でジブリ作品が配信されています(参考: スタジオジブリ、米ストリーミングサービス「HBO Max」と独占配信契約)。
そのため、ジブリの配信が行われないのは日本だけとなります。
一体なぜ日本だけジブリ映画の配信が行われないのでしょうか。
そのハッキリとした理由は分かりませんが、今回は配信されない理由と、配信されるとすればどのサービスになるのかを予想していきます。
ジブリが日本だけ配信されないのはなぜ?
日テレが権利を持っているため?
スタジオジブリの作品が配信されない理由の1つとして考えられることは、「日テレが権利を持っている」ということです。
日テレこと日本テレビは、「魔女の宅急便」以降のすべてのジブリ作品において共同製作を担ってきたことに加えて、国内におけるジブリ作品の放送権を持っています。
そのため、テレビにおいては、ジブリ映画は日テレの「金曜ロードショー」でしか放送されません。
さらに、日テレのロゴキャラクターである「なんだろう」も宮崎駿のデザインであるというほどジブリと日テレの関係は深いようです。
そして、金曜ロードショーにおけるジブリ作品は平均して14%前後は取っているキラーコンテンツのため(参考: 天空の城ラピュタ:17回目の放送、視聴率は14.5% 前回を上回る高視聴率)、日テレとしても見放題配信させて視聴率を落としたくないと考えるのは当然だと思います。
また、日テレは「Hulu Japan」の運営権を持っているため、配信するとしても日本ではNetflixやHBO Maxには渡さないというプライドがあるのでしょうか。
このように、ジブリ作品は日テレが権利を持っていて、金曜ロードショーの視聴率を落とさないためと、配信するとしてもHulu Japanで行いたいという考えあるためなのでしょうか。
ディズニーが権利を持っているため?
スタジオジブリの作品が配信されない他の理由として考えられることは、「ディズニーが権利を持っているため?」です。
ディズニーは、1996年からジブリと業務提携して国内外のVHS/DVD/Blu-rayの販売を担当し、海外における配給も担当してきたことに加えて、「ホーホケキョ となりの山田くん」以降のジブリ作品で共同製作を担っています。
このように、日テレ同様にジブリとディズニーの関係も非常に深くなっているようです。
しかしながら、海外における配給とソフトの販売を担当していたディズニーが、自社のDisney+でジブリ作品を配信せず、他社のHBO MaxやNetflixに権利を取られてしまったことにも注目しないといけません。
おそらく、ジブリ作品のソフト販売と配信における権利が別であるため、ディズニーはDisney+でジブリ作品を配信することができなかったと考えることができます。
そう考えると、日本でジブリ作品が配信されない理由にディズニーが関わっている可能性はそこまで高くないのかもしれません。
しかしながら、日本においてはディズニーが配信権も持っているという可能性もあるので、この辺りはハッキリとは分からないところです。
DVD/Blu-rayを売るため?
これはほとんどあり得ないと思いますが、「DVD/Blu-rayを売るため?」という理由でジブリ作品が配信されない可能性もあります。
2020年1月時点では、日本でジブリ作品を正規ルートで見るためには、日テレの金曜ロードショーを見るか、DVD/Blu-rayをレンタル・購入するしか方法がありません。
しかしながら、DVD/Blu-rayのレンタル・セルの売上は年々減少しており(参考: 映像ソフト市場の推移をグラフ化してみる(最新))、最近は「近所のツタヤが閉店した」という話もよく聞くと思います。
その理由はもちろん、Amazon Prime Video、Netflix、Disney+などの動画配信サービスの利用者が増えてきたことで、DVD/Blu-rayの利用者が減ってきたためです(有料動画配信市場は急成長中)。
このように西暦2020年の現代において、いまだにDVD/Blu-rayを積極的に売り続けるのは考えにくいのです。
そうなると、やはり日テレやディズニーの権利関係ではないかと考えるのが妥当かもしれません。
日本で配信されるならどのサービス?
では次に、日本でジブリ作品が配信されるとしたらどのサービスになるかを予想していきましょう。
Hulu Japan?
まずは、「Hulu Japan (フールー・ジャパン)」です。
「Hulu Japan」は、日テレが運営権を持つ定額動画配信サービスで、日テレのドラマなどが配信されています。
日テレはジブリ作品のテレビ放送権を持っているため、日テレ傘下の「Hulu Japan」でジブリ作品が配信される可能性もあるのです。
ただし、日テレが持っているのはあくまでも”放送権”なので、”配信権”とは別であると考えることもできます。
このように、「Hulu Japan」でジブリ作品が配信される可能性もありますし、されない可能性もあります。
Disney+?
続いては、「Disney+ (ディズニープラス)」です。
「Disney+」はディズニーが運営する定額動画配信サービで、ディズニー、ピクサー、マーベル、スターウォーズの作品などが配信されています。
ディズニーはジブリ作品のDVD/Blu-rayの販売を担ってきたので、その流れで配信する権利がディズニーにあるとすれば、Disney+でジブリ作品が配信される可能性もあります。
ただし、海外のDisney+ではジブリ作品は配信されておらず、全く関係ない「HBO Max」や「Netflix」が配信権を獲得したことから、ディズニーはジブリの配信権には関わっていないと考えることもできます。
ただし、日本におけるジブリ作品の配信権をディズニーが持っているのかどうかはまだハッキリとは分からないので、Disney+でジブリ作品が配信される可能性も捨てきれません。
Amazon Prime Video?
では、日本で人気の「Amazon Prime Video (アマゾン・プライム・ビデオ)」はどうでしょうか。
結論から言えば日本のAmazon Prime Videoでジブリが見放題配信される可能性はあまり高くありません。
なぜなら、アマゾンがジブリ作品の配信権を獲得したなら、Netflixのように世界同時配信を行うはずだからです。
もちろん、世界ではNetflix、アメリカではHBO Maxだが、日本ではAmazon Prime Videoが権利を獲得したという可能性もゼロではありません。
この辺りはハッキリとは分からないところです。
Netflix?
日本・アメリカ・カナダ以外の国で配信される「Netflix (ネットフリックス)」はどうでしょうか。
日本のNetflixでジブリ作品が配信される可能性は不明です。
日本のNetflixでジブリ作品を配信するのであれば、とっくに発表しているはずなのですが、後からヒョッコリ対応する可能性もなくはないです。
わざわざ「日本・アメリカ以外の国で配信します」と発表したのは、これらの国ではNetflixでジブリ作品が配信されることはないというメッセージかもしれませんが、カナダは当初非対応と発表しておきながら後からちゃっかり対応しました(参考: 外堀徐々に埋まる! Netflix、カナダでのスタジオジブリ作品の配信を開始 – GAME Watch)。。
そのため、ある日突然日本でも「Netflix」でジブリが配信される可能性も完全にゼロではないと言えます。
この辺りは分からないところです。
その他のサービス?
日本では、他にも「Paravi」、「FOD」、「Rakuten TV」、「U-NEXT」、「dTV」といった定額動画配信サービスが存在します。
しかしながら、これらのサービスでジブリ作品が配信される可能性は低そうです。
その理由としては、ジブリと権利関係の繋がりがないことに加えて、資本力がないためです。
おそらく「HBO Max」や「Netflix」はジブリ作品の配信権を得るために莫大な資金を投じたのですが、そんなパワーは日本のマイナーな動画配信サービスにはないと思います。
可能性としてあるとすれば、日本でジブリ映画の配給を担ってきた「東宝」が自社の動画配信サービを立ち上げてジブリを独占配信することです。
あるいは、スタジオジブリが自社の動画配信サービス「ジブリ+ (仮)」を立ち上げて自前で配信することもあるかもしれません。
どちらも会員数の獲得には苦労しそうなので、可能性としては低そうです。
早く配信しないとロストジブリ世代が生まれる?
最近の子どもたちは、スマホやタブレット、スマートテレビなどで動画配信サービスを見るのが主流になっていきています。
すでに10代ですらテレビよりネット動画の視聴時間の方が長いので(参考: 10代はテレビよりネット動画!有料(定額)動画配信サービスも成長)、今の0〜9歳の子どもたちはもっとネット動画を見ていると思います。
そして、旧来の「DVD/Blu-ray」のレンタル・セルの売上は年々減少しています。
このように、今時の子どもたちはテレビやDVDよりもネット動画に夢中で、その数も今後ますます増えていくことが予想されます。
ここで危惧すべきなのが、ジブリ作品がネット配信されていないということです。
つまり、このままではジブリ作品に触れることなく育つ「ロストジブリ世代」が生まれてしまうリスクもあるのです。
ジブリの劇場映画は2014年の「思い出のマーニー」を最後に公開されていないので(レッドタートルは除く)、子どもたちは映画館でジブリ映画を見るという経験もありません。
そして、子どもたちが大好きなネット配信ではジブリがないので、ジブリの存在すら知らずに育つ可能性もあるのです。
このように、このままいけばジブリ映画を見たことがない子どもたちが増えていくこともなくは無い話なのです。
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最後に
今回は、『ジブリが日本だけ配信されないのはなぜ?どのサービスになる?』についてご紹介しました。
このように、日本だけジブリが配信されないのは、日テレやディズニーが権利を持っているためであることが考えられます。
また、日本でジブリ作品が配信される可能性があるサービスは、日テレの「Hulu Japan」、ディズニーの「Disney+」あたりで、AmazonやNetflixの可能性は低そうです。
もしくは、東宝やジブリが自前の定額動画配信サービスを用意して配信する可能性もゼロではありません。
あるいは、全く予想もできないような方法でジブリ作品の配信が行われるのでしょうか。
日本におけるジブリの配信がどうなるのかは、鈴木敏夫さんや一部の関係者しか知らないことなので分かりません。
果たして、日本のジブリ作品の配信が行われる日が来るのか、どのサービスになるのか、今後も目が離せませんね。